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 岩橋英遠が生まれた空知地方は豪雪地帯である。庭木の冬囲いも竹などのひ弱なものでは役に立たず、カラマツ材などのハサキに使う太い樹木を使う。何しろこの地域は、ひと冬に10メートルを超す雪が降る。この感覚は太平洋岸にすむ人々には想像ができない。その雪から庭木を守る。イチイ(北海道ではオンコという)はとても固い木なのだが、冬囲いをしなくては枝がやられる。つまり雪が積もって枝が折れてしまう。

 でも当然だが、野山の樹木は冬囲いなどしない。ほっておいたらどうなるのだろうと、様子を見たら、なるほど、イチイの枝は見事に折れてしまったことがある。

 庭木は冬、すっぽりと雪に埋まる。人間どもも雪籠り(ゆきごもり)となる、ということはなくて、せっせと雪はねをして日々をやり過ごす。なんだか不公平だなぁと思いながら、今年も冬囲いの作業に汗を流す。

散策阿弥 北辰振興会理事