ふるさと
菜の花が咲き誇る北の大地

 北海道、石狩川中流域に位置する滝川市江部乙町。その東側にある丸加高原一帯は、今、初夏には菜の花が広大に咲き誇っています。全国最大ともいわれる菜の花畑には毎年、多くの観光客が集まるようになりました。
 
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 この地は1897(明治27)年、全国各地一府20県から江部乙屯田兵として400戸が入植し開拓の鍬が入れられました。開拓者たちは畑作・稲作のほか果樹栽培にも取り組み、この丘陵地はかつて400ヘクタールを超える果樹栽培が行われ、春になるとリンゴの白い花が咲き誇り、丘陵地一帯は、その甘い匂いに包まれていました。
九州熊本県から移住した岩橋家も、この江部乙屯田兵の一員でした。
この丘陵地からは岩橋英遠のほか、一木万寿三(洋画家)、榛谷美恵子(俳人)関川左木夫(詩人)比佐芳武(映画脚本家)など数多くの芸術家を輩出しました。
白く甘い匂いを放つリンゴの花の香りは、丸加高原の美しい景観と相まって、若者たちを芸術の世界へと誘う役割を果たしたのでしょうか。
岩橋英遠は、大正13年、21歳の時、画家を目指して上京するまで、江部乙村で畑仕事に従事していました。