1.趣旨

 滝川市出身の文化勲章受章者、日本画家・岩橋英遠は「道産子追憶之巻」に代表されるようにふるさと北海道の情景を数多く描き、それらの作品は地元住民の親しみと誇りの対象であり、今も多くの人々の心の拠り所ともなる、地域にとって大切な宝物のような存在です。

その作者である岩橋英遠はふるさとをこよなく愛し、晩年は地元の中学生たちとの文通などによる交流を重ね、その中で自身が子供のころに見た美しい桜並木の風景を子ども達のために復活させたいと強く願うに至りました。その思いを受けとめた地元市民が立ち上げたのが「岩橋ふるさと北辰振興会」です。この会は岩橋英遠の芸術の普及等の活動・桜並木の再生の活動を通じて市内に緑豊かな環境を整備し、文化の香り高い地域づくりに寄与することを目的としてこれまで様々な活動を続けてきました。

 岩橋英遠が望んだ桜並木復活のため、昭和62(1987)年から江部乙中学校の協力のもと桜並木再生の活動が「江部乙町桜並木保存会」として始まり、地元小中学生が桜を実生から育てる活動につながっていきました。後にこの会はより幅広い活動を展開するために平成3(1991)年に桜並木の造成と地域の文化振興を目的とした「岩橋ふるさと北辰振興会」に引き継がれて今日に至っています。当会の活動は主に「北辰の森」での桜並木の維持・管理、地元中学生達と共に桜を実生から育てる活動、桜並木造成のための学習会の開催、岩橋英遠の芸術を広く普及するための講演会、写真展、コンサート等、年間を通じて事業を行ってきました。さらに滝川市美術自然史館で開催される岩橋英遠の作品をとり上げた特別展に際しては主催の実行委員会に会として参加し、特別展の成功に向けてその主要な一角を担ってきました。

今回法人として申請するに至ったのは、これまでの任意団体として行ってきた活動や事業をさらに広く地域全般に広め、定着させ、継続的に進めていく必要がある等の観点から、社会的にも認められた公的組織の体制を作っていくことが最も良い方法であると考えたからです。また、今まで以上に多くの地域住民の方々に参加していただくことが会の活動主旨に照らしても不可欠の要素であるという点から、特定非営利活動法人格を取得するのが最適であると考えました。

特定非営利活動法人岩橋ふるさと北辰振興会は、滝川市出身の日本画家・岩橋英遠の画業に関する顕彰・調査研究・普及活動等を行うとともに、滝川市内の緑豊かで美しく潤いのある景観の造成と芸術文化の振興を図るため緑化推進や美術展や普及事業等の事業を行い、心豊かな生活環境と文化の香り高い地域づくりに寄与することを目的とする団体として、今後更に積極的な活動を展開してまいります。